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鴨川の源流を守る洛北の寺・志明院

このブログのメインテーマは「お不動さんを探し歩く」ことなので、「志明院」というお寺を紹介しない訳にはいかないとずっと思っていた。しかしながら、その寺は何せ「雲ケ畑(くもがはた)」という京都のはずれにあるので、中々訪れることができずにいた。
雲ケ畑は鴨川の源流域にある。当時の淳和天皇(じゅんなてんのう)は鴨川の干ばつや氾濫に悩み、その水量をコントロールするためにこの地に寺を建立することを勅願し、空海が志明院(しみょういん)として開創したと伝えられている。
年末に時間ができたので、思い切って訪問することにした。

 

 

訪問日:2019年12月28日

 

 

志明院は赤点の場所にある。

 

 

 

公共交通機関としては、雲ケ畑バス(もくもく号)が北大路駅から出ているが、一日二本のみであり、
しかもこのバスで行くと帰りのバスに乗るには現地に4, 5 時間滞在しなければならず、現実的ではない。実質的には、自家用車かタクシーで行くことになろう。

 

 

 

この志明院には過去に司馬遼太郎も宿泊し、その時に「風が吹いているわけでもないのに、障子がカタコト鳴る」等の奇妙な体験をしている。要するに、「出る」のである。
司馬遼太郎は後に、このことを宮崎駿に話し、そこからインスピレーションを得て、
「もののけ姫」という作品ができたといわれている。

 

 

 

筆者は、車で訪問した。駐車場から寺務所を望む。
中々の雰囲気であり、「出る」といわれても何ら不思議ではない。

 

 

 

志明院の山号は岩屋山、宗派は真言宗単立。本尊は言うまでもなく不動明王である。

 

 

 

車を降りて、階段を上ると住職の奥様と思われる方が出迎えてくれた。

 

 

 

奥様に境内図を見せていただき、「写真オッケー」とのことだったのでパチリ。
また、この日は筆者が朝一番の参拝客であるとのことで、由緒や各お堂などを詳しく説明していただいた。

 

 

 

また、山門をくぐると写真撮影は一切禁止とのことで、リュック等は預けることになる。
山門自体は自由に写真を撮って良いとのことだった。
したがって、今回は筆者の写真は山門しかない。
あとは、テレビ放送からご紹介します。

 

 

 

この雰囲気が写真から上手く伝われば良いのだが。。。
ぜひ一度行ってみてください。

 

 

 

岩屋山の扁額は平安時代の書家・小野道風の作。

 

 

 

運慶作と伝わる阿形さん。

 

 

 

湛慶作と伝わる吽形さん。

 

 

 

筆者の写真はここまでで、ここから先はテレビ放送からご紹介します。
山門をくぐると奥に本堂が見える。

 

 

 

本堂。

 

 

 

本尊の不動明王は空海作だが秘仏なので、参拝客は御前立から拝むことができる。

 

 

飛龍の滝。
歌舞伎十八番の一つである「鳴神(なるかみ)」で有名。
鳴神上人は帝から寺を建立するという約束を反故にされたことに怒り、
雨を降らす龍神をこの飛龍の滝の滝壺に閉じ込めた。
その結果、干ばつとなり百姓農民が苦しむこととなった。
朝廷は美女を遣わして鳴神上人を惑わせる。
さすがの鳴神上人も色仕掛けには勝てず、法力が解かれ、「護摩の岩屋」の縄が切れ、龍神は天に上り、雨が降った。

 

 

 

その「護摩の岩屋」。

 

 

 

境内を上っていくと最上段には舞台造りとなった「根本中院」があり、ここで鴨川の源流となる水滴を見ることができる。
今日は乾燥しているため、水滴が落ちる音を聞くことはできなかった。

 

 

 

水滴がたまり、泉となっている。

 

 

 

ここが鴨川の源流と思うと感慨深い。

 

 

 

志明院の御朱印。

 

 

下に戻ると、奥様から「お疲れ様でした」とねぎらいの言葉をかけられた。
志明院も昨年の台風で大きな被害を受け、鐘楼などは壊れたままであった。
寺の復興の一番の良薬は参拝客が増えることである。

地理的になかなか行くことが難しい場所にあり、簡単には推薦はできないのだが、
奥様は「ぜひお知り合いにも参拝を薦めてください」とおっしゃっていたので、
皆さんもぜひ訪れてみてください。

その辺の観光寺より、よっぽど濃密な時間を過ごすことができることは筆者が保証します。
ただし、「出る」かもしれませんが(笑)

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