筆者は西国三十三所を満願しているのでもちろん全て参拝したことがあるが(西国三十三所巡礼の先達認定)、その中で第十二番札所の岩間寺を訪れたときに「山奥にあるお寺だなあ。前の札所の醍醐寺からどうやって歩くんだろ?」というのが感想だった。
ちょうどその時、修験道の行者たちが法螺貝を吹きながら遠くから歩いてくるのを見て、彼らが醍醐寺から来たことを知り、筆者も次は醍醐寺から歩いてここまでこようかなどと考えていた。
そして、本日天気が良く、気温も涼しく、かつ暇であったので(笑)、第十一番札所・醍醐寺から第十二番札所・岩間寺までソロで歩くことにした。
歩行日:2021年10月23日
出発地:京都地下鉄・醍醐駅(08:15)
到着地:京阪バス・中千町バス停(15:32)
総歩行距離:22.5 km
今日のルート。
宇治の醍醐寺から上醍醐を経由して、琵琶湖の瀬田川に抜けるコース。
歩行軌跡をダウンロードしたい方はこちらからどうぞ。
時間が合えば第十三番札所の石山寺まで行きたかったのだが、醍醐寺で開門時刻の9時まで現地で待つ必要がありスタートが遅れたため断念した。
いくつかの山を越え、谷を越え、という縦走コース。
8:15、今日のスタートは地下鉄・醍醐駅。
あと、1時間スタートを早めることができれば石山寺まで行くことができるのだが、筆者は醍醐寺(開門9時)で御朱印をいただく必要があるので、この時刻となった。
いきなり西に進んでしまうというミス。
慌てて引き返し、東に進む。
8:35、醍醐寺に到着。
醍醐寺の山号は醍醐山あるいは深雪山(上醍醐寺)、宗派は真言宗醍醐派。
西国三十三所の第十一番札所である。
国宝の唐門。
8:40、仁王門前で開門の9時まで時間をつぶす。
通常、醍醐寺では西国三十三所の御朱印は観音堂でいただくことになるのだが、このとき観音堂は修復中であったため、三宝院にて御朱印をいただいた(現在は観音堂でいただくことが可能)。
醍醐寺の観音さまは准胝(じゅんてい)観音さま。
もともと、ここから山を登った上醍醐寺にある観音堂のご本尊であるが、お堂が落雷により焼失し、現在ではふもとの観音堂に祀られている。
したがって、御朱印にも上醍醐と書かれている。
今日は上醍醐も参拝する。
鐘楼。
醍醐寺本堂の金堂。
ご本尊は薬師如来さま。
オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ。
京都最古の木造建築であり、国宝の五重塔。
清滝宮。
醍醐寺の鎮守社。
不動堂。
お不動さまにご挨拶。
真如三昧耶堂(しんにょさんまやどう)。
平成9年建立。
役行者。
南無神変大菩薩。
観音堂はこの日は立入禁止となっていた(今はOK)。
普段は御朱印もここでいただくことができる。
西国三十三所の札所本尊である准胝観音が祀られている。
オン シャレイ ソレイ ソンデイ ソワカ。
池の上に建つのは弁天堂。
オン ソラソバテイエイ ソワカ。
奥に進んでいく。
女人堂。
上醍醐への登山口にあり、昔は女性がここから山上の諸仏を拝んだ。
本尊には、山上の准胝観音の分身が祀られている。
左から、不動明王、理源大師、弥勒菩薩、役行者、地蔵菩薩が祀られている。
上醍醐への入山料 600 円を納める。
10:00、それでは今から上醍醐へ向けて登山スタート。
豊臣秀吉の花見御殿跡 。
槍山と呼ばれるこの場所でも「醍醐の花見」が行われた。
山道を上っていく。
休憩所近くのお不動さまを参拝。
さらに上ると、音羽魔王大権現が祀られていた。
かつて天狗の休憩所といわれた「天狗杉」があったという場所。その跡地に建てられたのがこの社。
上醍醐まで上ってきた。
上醍醐の寺務所。
左の参道を通っていく。
10:50、上醍醐に到着。
准胝仏母堂と書かれている。
国宝の清滝宮拝殿。
室町時代の建物で、寝殿造りの手法で作られている。
醍醐水は、聖宝・理源大師が隠遁した場所。
今も湧き出ている泉で、飲用可である。
ちょうどペットボトルの水が空になったばかりなので、ありがたく頂戴する。
山の水は美味しいね。
上に登っていく。
祠の横を通り過ぎる。
准胝観音堂は落雷により焼失したが、その跡地。
再建の予定があるとのこと。
薬師堂へ向かう。
11:02、薬師堂に到着。
五大堂が見えてきた。
五大堂に到着。
如意輪堂。
白山社。
伏見の街並みと遠くには大阪が見える。
開山堂。
上醍醐最大の堂宇で、内陣には、中央に醍醐寺開山聖宝理源大師像、左に弘法大師像、右に醍醐寺第一世座主・観賢僧正像が祀られている。
上醍醐陵。
白河天皇の皇后さまが祀られている。
11:25、さて、これにて上醍醐を全て拝観したので、これから山を越えて東の岩間寺方面に進む。
ちなみにここから先は人に出くわすことはなかった。
このような山道を通って山を下りていく。
祠で道中の安全と道に迷わないように祈願する。
人気のない山道は筆者好みである。
この橋、渡って大丈夫なのか???
山道を下ってキャンプ場に出てきた。
キャンプしている人から「こいつ、どこから出てきたんや」というような目で見られる。
しばらく舗装道を歩く。
再び山道に入る。
鳥居があったので参拝する。
再度、舗装道を歩く。
12:27、東笠取清滝宮に到着。
拝殿。
田舎道を東に進む。
ここからの上り道がこの日一番きつかった。
奥宮神社の鳥居が見える。
13:27、奥宮神社に到着。
主祭神は大山津見命。
奥宮神社からの景色。
正面には京治バイパスが見える。
こちらからは琵琶湖と近江大橋が見える。
奥宮神社を後にする。
13:45、しばらく道なき道を歩いて岩間山の山頂に到着。
岩間寺に向かう。
13:57、岩間寺に到着。
岩間寺の正式名は正法寺、山号は岩間山、宗派は真言宗醍醐派。
西国三十三所の第十二番札所である。
ぼけ封じ観音。
仁王門の代わりに金剛力士さまがにらみをきかせている。
手水舎。
本堂。
ご本尊は千手観音さま。
岩間寺の御朱印。
本堂の参拝を終え、それ以外の諸堂を参拝する。
階段を下りたところの清滝社を参拝。
護法龍王社。
松尾芭蕉の『古池や 蛙(かわず)飛び込む 水の音』の句は、この池で詠まれたといわれている。
不動堂。
雷除けの稲妻龍王社。
大師堂。
南無大師遍照金剛。
14:40、参拝を終え、岩間寺を出発する。
京治バイパスを越える。
舗装道を歩くのはさすがに足が痛くなってきたが、もう少しなのでがんばって歩く。
15:32、京阪バス・中千町バス停に到着。
西国三十三所観音巡礼はわが国最古の巡礼であり、歴史的には四国の遍路よりも古い。
当時はもちろん徒歩で巡礼していたわけで、そのルートを辿るというのが今回の目的であった。
しかし実際に歩いてみると、標高は高くないとはいえ、山を3つも越えて歩くとさすがに疲労困憊となった。
その分、参拝後の喜びもひとしおであり、徒歩巡礼も中々良いものですよ。