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寺社の楽しみ方

週末の趣味としての神社仏閣巡り(第 6 回)-お経と真言と宝号の話

今日はお寺で唱えるお経真言宝号について、僕が思うことをお話ししたいと思います。

 

お経とは

皆さんはお葬式や法事などでお経を聞かれたことがあると思います。
そのときのご感想は「お経長いなあ。早く終わらないかなあ。」でしょうか(笑)

あるいは、経本を見ながら、お経を唱えたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

お経については、仮に暗記していたとしても、経本を目で追いながら唱えるのが良いのだそうです。

とはいえ、道ばたのお地蔵さんに向かって、経本を手にしてお経を唱えると、
「あの人、さぞかしつらい思いをされたのでしょうね。かわいそうに。。。」と思われてしますので、暗記しているに越したことはないと思います。

話が脱線しましたが、お経の中で最も短いものは「延命十句観音経(えんめいじっくかんのんぎょう)」で、わずか 42 文字から成っています。

 

(延命十句観音経)
観世音。南無仏。(かんぜおん。なむぶつ。)
与仏有因。与仏有縁。(よぶつういん。よぶつうえん。)
仏法僧縁。常楽我浄。(ぶっぽうそうえん。じょうらくがじょう。)
朝念観世音。暮念観世音。(ちょうねんかんぜおん。ぼねんかんぜおん。)
念念従心起。念念不離心。(ねんねんじゅうしんき。ねんねんふりしん。)

 

最もよく知られた般若心経(はんにゃしんぎょう)は 278 字から成り、これを覚えて唱えると、他の参拝者から一目置かれる存在になれるかもしれません(笑)

 

(般若心経)
仏説摩訶般若波羅蜜多心経
(ぶっせつまか はんにゃはらみた しんぎょう)

観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空
(かんじざいぼーさつ ぎょうじんはんにゃーはーらーみーたーじー しょうけんごーうんかいくう)

度一切苦厄 舎利子 色不異空 空不異色 色即是空
(どーいっさいくーやく しゃーりーしー しきふーいーくう くうふーいーしき しきそくぜーくう)

空即是色 受想行識亦復如是 舎利子 是諸法空相
(くうそくぜーしき じゅーそうぎょうしき やくぶにょーぜー しゃーりーしー ぜーしょーほうくうそう)

不生不滅 不垢不浄 不増不減 是故空中
(ふーしょうふーめつ ふーくーふーじょう ふーぞうふーげん ぜーこーくうちゅう)

無色 無受想行識 無眼耳鼻舌身意 無色声香味触法
(むーしき むーじゅそうぎょうしき むーげんにーびーぜっしんにー むーしきしょうこうみーそくほう)

無眼界 乃至無意識界 無無明亦 無無明尽
(むーげんかい ないしーむーいーしきかい むーむーみょうやく むーむーみょうじん)

乃至無老死 亦無老死尽 無苦集滅道 無智亦無得
(ないしーむーろうしー やくむーろうしーじん むーくーしゅうめつどう むーちやくむーとく)

以無所得故 菩提薩埵 依般若波羅蜜多故
(いーむーしょーとくこ ぼーだいさつたーえー はんにゃーはーらーみーたーこー)

心無罣礙 無罣礙故 無有恐怖 遠離一切顛倒夢想
(しんむーけーげー むーけーげーこー むうくーふー おんりーいっさいてんどうむーそう)

究竟涅槃 三世諸仏 依般若波羅蜜多故
(くうぎょうねーはん さんぜーしょーぶつ えーはんにゃーはーらーみーたーこー)

得阿耨多羅三藐三菩提 故知般若波羅蜜多
(とくあーのくたーらーさんみゃくさんぼーだい こーちーはんにゃーはーらーみーたー)

是大神呪 是大明呪 是無上呪 是無等等呪
(ぜーだいじんしゅー ぜーだいみょうしゅー ぜーむーじょうしゅー ぜーむーとうどうしゅー)

能除一切苦 真実不虚 故説般若波羅蜜多呪
(のうじょーいっさいくー しんじつふーこー こーせつはんにゃーはーらーみーたしゅー)

即説呪日 羯諦 羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦
(そくせっしゅーわつ ぎゃーてい ぎゃーてい はーらーぎゃーてい はらそうぎゃーてい)

菩提薩婆訶 般若心経
(ぼーじーそわか はんにゃしんぎょう)

 

さて、では最も長いお経は何かといいますと、「大般若波羅蜜多経(だいはんにゃはらみたきょう、通称・大般若経)」で、全部で600巻あります。
僧侶でも全部読誦すると何日もかかるというもので大変な量です。
では、このお経はどのように読むのでしょうか。
答えは、お経本をパラパラとめくっていき、読んだことにするのです。これを転読(てんどく)といいます。
今年の新年に比叡山延暦寺で行われた「大般若転読会(だいはんにゃてんどくえ)」という法要を下にご紹介します。
なかなか活気のある法要だと思います。

 

なお、浄土真宗で唱えられるリズミカルな正信偈(しょうしんげ)はお経ではありません。
お経とは、お釈迦さまの教えが書かれたものですが、正信偈は親鸞さんが書かれたものだからです。

 

ご真言について

密教系の宗派(主に真言宗と天台宗)で唱えられる言葉です。
真言とは「仏さまが説かれる聖なる言葉」のことで、ある種の呪文です。

お寺をお参りすると、案内文のところにご真言が書かれている場合があります。
下のような説明があった場合、三宝荒神さまのご真言「オン ケンバヤ ケンバヤ ソワカ」を3回唱えます。

勝尾寺・三宝荒神の説明文

仏さまごとにご真言は決まっていますので、僕はスマホのメモに書いて持ち歩いています。
ちなみに、僕が覚えている真言は下記の通りです。これ以外の仏さまの前ではカンペを使って唱えます。
皆さんもこれらの真言をご自身のスマホのメモ帳にコピペしておいてください。

薬師如来・・・・・・・・・・オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ

阿弥陀如来・・・・・・・・・オン アミリタ テイゼイ カラ ウン

大日如来・・・・・・・・・・オン アビラウンケン

聖観音(しょうかんのん)・・オン アロリキャ ソワカ

十一面観音・・・・・・・・・オン マカ キャロニキャ ソワカ

千手観音・・・・・・・・・・オン バザラ ダラマ キリク

如意輪観音・・・・・・・・・オン バラダ ハンドメイ ウン

地蔵菩薩・・・・・・・・・・オン カカカビ サンマエイ ソワカ

不動明王・・・・・・・・・・ノウマク サーマンダー バーサラダン センダ マーカロシャーダー ソワタヤ ウンタラタ カンマン

弁財天・・・・・・・・・・・オン ソラソバテイエイ ソワカ

大黒天・・・・・・・・・・・オン マカ キャラヤ ソワカ

毘沙門天・・・・・・・・・・オン ベイシラ マンダヤ ソワカ

光明真言・・・・・・・・・・オン アボキャ ベイロシャノウ マカボダラ マニ ハンドマ ジンバラ ハラバリタヤ ウン

 

あと、真言宗と天台宗とで少し音が変わります

例えば、不動明王の真言は、真言宗は上記ですが、天台宗では「ナーマク サーマンダー バーサラナン センダ マーカロシャーナー、、、」となります。
毘沙門天の真言も天台宗では、「オン ベイシラ マナヤー ソワカ」となります。
光明真言は天台宗では、「オン アボキャ ビロシャナ マカモダラ マニ ハンドマ ジンバラ ハラバリタヤ ウン」です。

般若心経の初めの箇所でも、真言宗では「かんじーざいぼーさー」ですが、天台宗では「かんじーざいぼーさつ」となります。

地方の方言みたいなものでしょうか。
少しややこしいですが、僕はお寺の宗派になるべく合わせて唱えるようにしています。

 

ご宝号について

先ほど解説した真言がサンスクリット語であるのに対し、宝号は漢字です。

真言宗・・・南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)

「遍照金剛」というのは弘法大師・空海の称号です。
「南無」というのは、お任せします、帰依(きえ)しますという意味です。
弘法大師さまに全てをお任せしますという意味です。
真言宗のお寺に参拝に行かれる場合は、この宝号は当たり前のように皆さん唱えられますので、ぜひ覚えてから行かれてください。

南無大師遍照金剛

 

浄土宗・浄土真宗・・・南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)

阿弥陀如来さまに帰依しますという意味です。

 

日蓮宗・・・南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)

 

臨済宗、曹洞宗などの禅宗・・・南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)

 

天台宗・・・いろいろあります

南無宗祖根本伝教大師福聚金剛(なむしゅうそこんぽんでんぎょうだいしふくじゅこんごう)は、伝教大師・最澄に帰依するという意味ですが、それ以外にも南無阿弥陀仏、南無元三大師常住金剛、南無南山建立大師、南無不動明王など種々唱えられます。

千日回峰行の行者が、9日間の断食・断水・不眠・不臥の堂入りに入られるとき、唱える宝号は
「南無帰命頂礼本尊聖者大聖大悲不動明王悉地成就(なむきみょうちょうらいほんぞんしょうじゃだいしょうだいひふどうみょうおうしっちじょうじゅ)」
です。
全身全霊を持って慈悲深い不動明王を敬いますという意味ですね。

 

これまでお経と真言の区別があいまいだった方も、何となくお分かりいただけたでしょうか。

例えば、道ばたにお地蔵さんがいらっしゃった場合、「オン カカカビ サンマエイ ソワカ」あるいは「南無地蔵菩薩」と唱えてみてください。
そのお地蔵さんには、数百年の間、人々がそのようにしてお祈りしてきたことがきっとお分かりになるでしょう。

 

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