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比叡山延暦寺

比叡山-一日回峰行体験記

比叡山延暦寺に伝わる荒行の千日回峰行については皆さんもよくご存知だと思う。

比叡山中腹にある無動寺明王堂を午前二時に出発し、夜中に比叡山を祈りながら一周し、ふもとの坂本に下りた後再び明王堂に戻ってくる。
これを七年間毎日繰り返すのである。
千日回峰行のルートは以下の通り。
現在では無動寺回峰道が使われており、単純に歩くと一周 20km ほどであり、実際はお堂の周囲を回ったり、石段を何往復もする箇所があるので 30km 近くになるという。

 

この千日回峰行の一端を一般人にも体験できるように比叡山が企画したのが「一日回峰行」である。
筆者はこの一日回峰行に二年前に参加したことがある。
決してハイキングや登山などではなく、あくまでも「修行」なので、行中は私語厳禁である。

 

 

一日回峰行は延暦寺のお坊さんを先達として(=率いられて)歩くが、もう一つ「三塔巡拝」というものがあり、これは実際に叡南浩元・大阿闍梨様を先達として歩く。
筆者はこれにも参加したことがある。

 

 

 

一日回峰行と三塔巡拝のいずれも、昨年はコロナ禍のために企画が中止となった。
三塔巡拝は残念ながら今年も中止とのことだが、一日回峰行は催行されるとのことだったので参加した。

 

延暦寺の公式ツイッターでも紹介されている。筆者の背中も写っている。

 

歩行日:2021年7月11日
出発地:延暦寺会館(3:00)
到着地:延暦寺会館(8:30)
総歩行距離:17.8 km

 

今日のルート。
本来ならば、ふもとの坂本からは無動寺坂を上るのだが(上の地図参照)、先日の大雨の影響で無動寺坂はあちこちが崩落しているらしく、安全のために本坂(これも上の地図参照)を使って上った。
ちなみに行中のお坊さん(新行さんという)は、そんな中でも壁を伝いながら無動寺坂を歩いたという。

 

前日の10日に出発した。
京都駅発のバスに乗り、13:50 に延暦寺バスセンターに着いた。

 

 

集合時間までまだ少し時間があるので、延暦寺を散策する。
まず大講堂。

 

 

大講堂前のおなじみの龍さん

 

 

そして延暦寺の中で中心の本堂である根本中堂。

 

 

せっかくなので延暦寺の中でも普段はあまり訪れないところを参拝することにした。
根本中堂から奥に進むと「星峰稲荷社(せいほういなりしゃ)」の鳥居が見えてくる。

 

 

ご祭神は、荼枳尼天(だきにてん)さま。
六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天)の衆生を救う辰狐王菩薩であり、商売繫盛・家運隆昌・立身出世の御利益がある。
星峰稲荷の御朱印は、根本中堂前の納経所でいただくことができる。

 

 

玉をくわえるキツネさん

 

 

巻物をくわえるキツネさん

 

 

星峰稲荷の右側の道を少し上ると文殊楼に出る。

 

 

文殊楼を横から撮ってみた。

 

 

あと、東塔にくると筆者は必ず訪れる三面大黒天さま。

 

 

観音さまにもご挨拶。

 

 

今日の宿舎となる延暦寺会館。
宿坊というが、観光旅館と言ったほうが正しいくらいの豪華さ。

 

 

延暦寺会館前のお不動さんにもご挨拶。

 

 

明日歩く予定の本坂を下っていく。
5分ほど歩くと、法然さんが得度された場所に着く。

 

 

法然上人得度御旧跡と書かれている。
南無阿弥陀仏。

 

 

さらに本坂を下っていくと亀堂に着く。

 

この石碑があるため、亀堂の名が付いた。

 

 

亀堂まで来たら、魔所の一つである天梯権現祠(てんだいごんげんほこら)に行かない訳にはいかない。
行き方は以前のブログに詳述している。

 

亀堂の裏の道を進んでいく。
不思議なことに、天梯権現祠へ導かれるようにコケが生えている。
これも天狗さんの仕業か???

 

 

この仏さまが見えると、正しい道を進んでいることになる。

 

 

そしてこの分岐(?)を左に上っていく。

 

 

天狗さんが棲んでいるといわれる天梯権現祠に到着。

 

 

来た道を戻り本坂を上っていく。

 

蓮如堂。
蓮如上人は前回のブログでも記載したように、浄土真宗中興の祖である。
親鸞上人だけではなく、蓮如上人も比叡山で修行したといわれる。

 

 

額にも蓮如堂と書かれている。

 

 

総持坊。

 

 

以前、ここの額には一眼一足の慈忍和尚の絵が置かれていたのだが。。。

 

 

延暦寺会館に戻ってきた。

 

 

17時から説明があり、それまで各自部屋で休憩。
前回参加した時は大部屋で雑魚寝だったのだが、コロナ禍の影響で個室となった。

 

 

17時になったので大部屋でオリエンテーションが始まる。
まずは、般若心経、ご真言、ご宝号を唱える。
その次に、修行に関するお坊さんの説明。
最後に千日回峰行のビデオを鑑賞。
本日の参加者は、筆者を含めて男性3名、女性4名であることが判明した。
参加人数が少ないのは、この日は正規の募集はなく、4月がキャンセル、6月がキャンセルとなったときの予備日であったため。

 

 

18時から夕食。
といっても、お坊さんは夕食をとらないため、食にあらずということで夕食のことは「非食(ひじき)」とよばれる。
非食は精進料理であるが、それを忘れさせてくれるほど豪華である。

 

 

豆乳鍋

 

 

たくわんを最後に1枚残して、お茶を注がれた茶碗をそのたくわんで洗って飲み干すのは、比叡山では良く知られた作法。

 

 

湯葉のお造りと湯葉のフライとメロン。

 

 

食事後は各自部屋に戻って入浴、就寝。
無動寺坂ではなく本坂ルートを通るので、歩行距離は短くなるため、出発は当初の予定より1時間遅い午前3時。
午前2時45分の延暦寺会館前。
皆が集合し、準備体操の後午前3時に出発となった。

 

 

歩行中は修行なので写真撮影は禁止。
玉体杉には 4:20 に到着。

 

 

4:50、横川に到着。
ここでお茶をいただいた。
このように、万一体調不良になったときやケガのときに供え、常に看護師が乗車した伴走車がついてきてくれる。

 

 

ちなみに、今回、般若心経を唱えた場所は、根本中堂、浄土院、釈迦堂、横川中堂、日吉大社東宮、滋賀院門跡の5カ所。

6:05、日吉大社の奥宮に到着。

 

 

日吉大社東宮。
写真は、比叡山延暦寺の公式ツイッターから拝借。
手前が筆者。
比叡山では、神社の前でも般若心経を当たり前のように唱える。これも神仏習合。

 

 

坂本に下りてきた。

 

 

6:45、滋賀院門跡でおにぎりをいただく。

 

 

7:10、本坂ルートで登山開始。
この日の気温は7時の段階で24度。蒸し暑い。

 

 

最後の上りで筆者だけが遅れを取る。
まだまだ修行が足らないな。
それでも何とか全員ケガもなく完歩することができた。
あと、この日は湿度が高く、男性は筆者も含めて全員ヤマビルにかまれた。
ヒルは麻酔成分を注入するので、噛まれている間は痛みがなく全く気付かない。
また、トロンビン阻害成分も注入してくるので、血小板が機能できず出血が止まらない。
ほんとにやっかいな生物である。
噛まれた跡の写真をあえてぼかして載せておく。

 

 

延暦寺会館で待っていただいたお坊さんから参加証をいただいて、風呂に入って終了。

 

 

以前参加した時は、いろんな場所でパンパンと遙拝した。
例えば、以前お堂が建っていた場所とか、玉来杉から竹生島の弁天さまに向かって遙拝していた。
今回はそれが全くなかったのが残念だった。
また、元三大師堂は通過さえしなかったのも意外だった。

それでもなお、一周してお山に戻ってきたときの清々しさは体験しないと分からないと感じた。

秋にも開催されるかもしれないので、皆さんもぜひ参加してみてください。
筆者はその前に体力をつけないといけないな(泣)

 

 

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