西国三十三所、竹生島の宝厳寺の次は、湖東にある第三十一番札所の長命寺である。
前回訪れたときは伊崎寺とセットで参拝したが、今日も同じである。
今日はさらに、この後三十二番札所の観音正寺も参拝するので、参拝順序は長命寺→観音正寺→伊崎寺となった。
長命寺といえば 808 段の石段があるため、西国三十三所のなかでも難所として知られるが、
この日筆者はこの石段を何と2回も上ることになる。
長命寺の位置。
琵琶湖畔にあり、昔の巡礼者は竹生島から次の札所である長命寺まで直接舟で参拝していた。
現在は、自家用車か JR 近江八幡駅からバスで参拝となる。
参拝日:2021年2月23日
山の中腹に長命寺の駐車場があるのだが、道が狭く筆者は断念した。
長命寺のふもとに長命寺港があり、筆者はここに駐車した。
正面奥に見えるのが石段の入口である。
実は、この石段を 1 時間ほど前に上ったのだが、訳あって再度上ることになった。
頂上の長命寺に着いてから、財布をクルマのサイドポケットに入れていたことに気付いた。
持っていたリュックの中には、後で訪れる予定の伊崎寺の阿闍梨様へのお布施用に熨斗に入れていた一万円があった。
それを使おうと納経所に行って一万円使えるかどうか尋ねたところ、「朝一なもんで、お釣りないわ~」と言われてしまった。
周りに誰もおらず、仕方なしに山を下りてきて、財布を回収し、再度上ることになったというわけである。
上りきるのにだいたい 35 分くらいかかる。
本日二度目の参拝となる。
二度目なのでゼーゼーハアハア言いながら登る。
結界鳥居。ここからは聖域。
結界鳥居を過ぎても石段は続く。
お不動さんに合掌。
中腹の駐車場に到着。
ここまで来れば山門まではあと少し。
皆さん、武内宿禰(たけのうちのすくね)という人をご存知だろうか。
神社仏閣巡りをしているとちょくちょく登場される人物で、古事記や日本書紀にも出てくる。
筆者のブログでも中山寺の奥の院のところでも登場されている。
大臣として5人の天皇陛下に仕え、一説には 300 歳くらいまで生きたという超人である。
この地で、柳の木に「寿命長遠諸願成就」と彫り長寿を祈願したため、長命寺は長寿のご利益があるといわれている。
手前に石碑、奥に山門が見える。
手前の石碑は聖徳太子の礼拝石。
長命寺の開基は聖徳太子といわれている。
冠木門(かぶきもん)とよばれる山門。
長命寺の山号は姨綺耶山(いきやさん)、宗派は天台宗系単立。
西国三十三所の第三十一番札所である。
手水舎で心身を清める。
この石段を上ると本堂に行ける。
武内宿禰による「寿命長遠諸願成就」の文字が彫られた柳の木を見た聖徳太子は、
『ここの霊木で観世音菩薩を刻み、ここにお堂を建立しなさい』というお告げを聞いた。
そして、伽藍を建立し、長命寺と名付けた。
300 歳まで生きたスーパー老人・武内宿禰
聖徳太子
まずは本堂を参拝する。
本尊は千手観音さまだが、他に、聖観音さまと十一面観音さまが安置されており、三尊一体のご本尊となっている。
脇侍は毘沙門天さまと不動明王さま。
長命寺の御朱印。「千手大悲殿」。
ご詠歌は「八千年や 柳に長き命寺 運ぶ歩みの かざしなるらん」。
三重塔。大日如来さまが祀られている。
本堂前は広場になっている。
阿弥陀如来さま、薬師如来さま、釈迦如来さまを祀った三仏堂。
三仏堂と回廊でつながっているのが、武内宿禰を祀った護法権現社の拝殿。
お堂と拝殿が回廊でつながっているのは神仏習合の名残り。
修多羅岩(すたらいわ)。武内宿禰のご神体といわれる。
桜の時期に来てみたい。
琵琶湖が望める。
この標高まで2回登ったことを考えると喜びもひとしおである。
おっ、愛宕神社でも見かけた太郎坊さんではないか。
せっかくなので祠まで行ってみる。
太郎坊さんにご挨拶。
お稲荷さん。
オン ロキャロキャキャラヤ ソワカ。
袴腰の鐘楼。
二階に上がって撞く鐘だった。
撞くことができたので『戻り鐘』とは知りつつ、撞いてしまった。
再度ご本尊様をお参りしたので許してください~。
本堂から階下を見下ろす。
参拝を終えたので、808段の石段を下りる。
それほど広くない境内だが、歴史はいっぱい詰まっているので、見どころ満載の長命寺であった。
2 回も石段を上って長寿祈願をしてきたので、武内宿禰大臣のように 300 歳まで長生きしてみようか(笑)