前日に続き、二日連続での比叡山延暦寺である。
前日にもご紹介したように、11月2日-3日にかけて、無動寺明王堂で叡南浩元・大阿闍梨様による「八千枚大護摩供(はっせんまいおおごまく)」が執り行われていた。
八千枚大護摩供では、11月2日13時、16時、19時、22時、11月3日1時、4時、7時、10時の計 8 座の護摩供が行われ、最後の護摩供で結願(けちがん)となる。
この間、阿闍梨様は断食・断水・不眠で修される。
また、熱心な信者は無動寺に泊まり込みで護摩供に参加されると聞いた。
筆者は、11月2日はこのブログでも紹介したように、比叡山の一周登山をしていたので、翌日の結願に参加させていただくことにした。
歩行日:2019年11月3日
出発地:坂本ケーブル・比叡山駅(6:20)
到着地:坂本ケーブル・比叡山駅(13:20)
総歩行距離:比叡山駅から無動寺までの間なので、3km くらい
7:03、京阪電車・坂本比叡山口で下車した。
ケーブルカーの始発は 8:00 である。
まだ少し時間があるので、昨日も立ち寄った「律院」に行くことにした。
穴太衆積みの石垣に横を歩く。
7:12、律院に到着。これは本堂。
そして、不動明王を本尊とする護摩堂。
お不動さんにお参りし、律院を後にする。
西に進む。
日吉大社の横を通る。
日吉大社の鳥居の横には大きな石段がある。
ここが「本坂ルート」のスタート地点であり、ここから比叡山延暦寺に上ることができる。
本ブログでは、このルートを使って、逆に比叡山からここまで下りたことを紹介したことがある(比叡山延暦寺 登山 きらら坂コース)。
石段の横には、いくつかの案内が置かれている。
ここから比叡山延暦寺の本堂である「根本中堂」まで二十五丁、およそ 2.8km である。
7:30、そうこうするうちに、ケーブルカーの坂本駅に到着した。
このケーブルカーに乗ると、10分ちょっとで比叡山駅まで行くことができる。
坂本駅ー比叡山駅の距離は 2,025m であり、日本最長のケーブルカーである。
始発(8:00 発)のケーブルカーに乗る。
8:12、比叡山駅に到着。標高は 654m。
筆者のブログでは頻繁に登場する、ケーブルカー比叡山駅の駅舎。
駅を出ると、本日の目的である「八千枚大護摩供」の案内が置かれている。
ケーブルカーを降車した多くの人は根本中堂のある東塔方面へ向かっていく。
筆者とあと数人は、それとは逆の無動寺方面へ進む。
筆者のブログでは下から登山してきて、ここがゴールであることが多いのだが、
今日は逆に、この鳥居をくぐって無動寺明王堂に向かう。
無動寺参道を進む。「無動寺谷」といわれるように、無動寺は「谷」に位置するため、
このようにひたすら下っていく。
逆に、帰り道はひたすら上り道となる。
休憩所。この黄色は阿闍梨様ご本人がペンキ塗りをされたらしい。
無動寺には明王堂だけでなく、弁財天を本尊とする弁天堂もあるため、このようにいくつかの鳥居をくぐっていく。
どんどん下っていく。
昨日のブログでも紹介した「閼伽井(あかい)」。
閼伽井を過ぎると、間もなく弁天堂方面と明王堂方面の分岐点に到達する。
写真で、右折すれば弁天堂、直進すれば明王堂である。
今日は直進する。
8:28、無動寺明王堂に到着した。
明王堂から見た風景。昨日とは異なり、朝もやがかかっている。
寺のお堂では、落雷が火事の原因となりうる。
先日訪問した醍醐寺でも、上醍醐本堂の准胝堂が落雷により焼失している。
明王堂はこのように避雷針があるので安心。
明王堂の横には、千日回峰行の創始者である、相応和尚(そうおうかしょう)の石像が置かれている。
今日は明王堂ではなく、下の護摩堂で護摩供が行われるので、そちらに進む。
急な石段を下りる。
石段を下りた場所には、朝顔らしき花の像。
そして、護摩堂に到着。
8座のうち、筆者は最後の護摩供(結願)のみに参加させていただいた。
護摩祈祷の後は、阿闍梨様からお加持(かじ)をしていただいた。
阿闍梨様は、断食・断水・不眠だったはずだが、お声もいつも通り張りのあるものであり、
体調は全く問題なしといった感じであった。
終了後はお斎(おとき)をいただき、最後にお土産として護摩の炭をいただいた。
帰り道。今度は登らないといけない。
12:02、比叡山駅まで戻ってきた。
12:35、ケーブルカー坂本駅から徒歩で京阪電車・坂本比叡山口駅まで行き、帰宅の途に就いた。
八千枚大護摩供について、阿闍梨様が必死に業火に向かい、信者が懸命に祈る姿が非常に尊いように思えた。
阿闍梨様はこの二日間、断食・断水・不眠で奉されるわけだが、実はその二週間以上も前から、五穀断ち及び塩断ちをされている。千日回峰行は想像を絶する修業であろうが、それを満行されてもなお、このような凄まじい行をされる阿闍梨様というのはやはり普通の精神力ではないのだろうな、などと考えさせられた。
来年は、筆者も泊まり込みで参加しようかな。