京都一周トレイルは、文字通り京都市街を取り囲む山々に作られた全長 80km のトレイルコースであり、
筆者もこれまでに比叡山延暦寺の峰道や大文字山など、そのコースの一部分を歩いてきた。
しかしながら、トレイルコースの東南側はまだ歩いたことがなかった。
また、以前、天台宗五箇室門跡の一つである青蓮院を訪れたが、そのとき本尊の不動明王(青不動)は将軍塚という高台にあるのでここでは見ることができないということを知った。
将軍塚はまさに東南側のトレイルコース上にあるため、本日は青蓮院の本尊が安置されている将軍塚青龍殿を訪れることにした。せっかくなので、伏見稲荷大社から京都一周トレイルコースに向かうことにした。
歩行日:2019年11月30日
出発地:JR・稲荷駅(9:05)
到着地:京都地下鉄・東山駅(15:15)
総歩行距離:16.5 km
本日のルート。
9:05、今日の出発地点は JR 稲荷駅。
稲荷駅のすぐ正面に伏見稲荷大社の鳥居がある。
境内に入り、拝殿に向かう。
二の鳥居の奥に見えるのが楼門である。
手水舎で心身を清める。
伏見稲荷大社は全国に 30,000 ある稲荷神社(お稲荷さん)の総本宮である。
初詣では、関西で例年最多の参拝客を集める。
主祭神は稲荷大神で、711年に稲荷山に鎮座された。
この楼門は 1589年、豊臣秀吉によって建立された。
筆者は自身が小学生の時(40年前)、写生会でここを訪れ、この楼門を描いた記憶がある。
お稲荷さんなので、狛犬ではなく、狛狐は祀られている。
向かって右側のキツネさんは宝珠をくわえている。
左側のキツネさんは鍵を加えている。その他、境内には稲穂や巻物をくわえているキツネもいる。
随身の左大臣像。
右大臣像。
伏見稲荷大社の境内図。本殿の裏側から千本鳥居が始まり、稲荷山山頂に行くことができる。
拝殿。
本殿。
本殿の背後にある権殿(ごんでん)。
本殿の修造の際、一時的に御神体を遷す仮殿。
外国人観光客にも人気の千本鳥居の入口。
ふもと付近は大混雑しているので、一方通行となっている。
おもかる石。石を持ち上げたときの感覚によって占いができるようになっている。
軽いと感じたら願いが叶うとのこと。
この学生さんはどうだったのかな?
上まで登ってくると、だいぶ人が減ってきた。
9:40、三ツ辻に到着。四ツ辻・山頂方面へ向かう。
四ツ辻への途中に紅葉が見えたので一枚。
9:50、四ツ辻に到着。
ここは登山道の交差点であり、稲荷山山頂に行けるし、京都一周トレイルコースを通って北上することもできる。
今日は下の写真の「御膳谷奉拝所」から山頂に向かい、そこから下って再度ここに戻ることにした。
では、山頂に向かう。
結構な急坂である。
10:05、稲荷山山頂に到着。稲荷山は伏見稲荷大社のご神体である。
山頂には一の峰・末広大神の社がある。
二の峰は青木大神の社である。
三の峰は白菊大神の社である。
10:20、稲荷山を一周し、再度、四ツ辻に戻ってきた。
ここから京都一周トレイルコースを北上する。
京都一周トレイルコースはこのような案内図が所々置かれているので、迷わずに歩きやすい。
泉涌寺方面へ向かう。
階段を下りていく。
泉涌寺の案内が見えてきた。
10:45、泉涌寺(せんにゅうじ)に到着。
泉涌寺の山号は東山(とうざん)、宗派は真言宗泉涌寺派。
泉涌寺は皇室の菩提寺であり、「御寺(みてら)」とよばれる。
後ろの壁は五本線の入った筋塀(すじべい)であり、格式の高さを物語っている。
境内に入る。正面には本堂に相当する「仏殿」が見える。
仏殿。本尊は釈迦如来(過去)、阿弥陀如来(現在)、弥勒如来(未来)の三体如来。
仏殿内は撮影禁止なので、テレビ放送から紹介する。
泉涌寺の御朱印。「霊明殿」と書かれている。
霊明殿は拝観できないが、歴代天皇陛下、皇后陛下の位牌が安置されている。
「みてら」と菊花紋が皇室の菩提寺であることを示している。
仏殿の背後には仏牙舎利(釈尊の骨)が安置されている舎利殿がある。
御座所。
楊貴妃観音堂。
楊貴妃観音さん。女性のはずなのだが、おひげが生えている。
泉涌寺を出発する。
泉涌寺のすぐ隣には西国三十三所第十五番札所である「今熊野観音寺」があるので、立ち寄ってみる。
トレイルコースから離れ、今熊野観音寺境内に入る。
今熊野観音寺の山号は新那智山、宗派は真言宗泉涌寺派。
先ほどの泉涌寺の塔頭(たっちゅう)寺院である。
後白河上皇は熱心な熊野信仰者であったが、熊野は遠方にあるため、簡単に詣でることはできない。
そのため、熊野権現をここに勧請し、「今の熊野」とした。
境内の紅葉。様々な色が混じり、とても鮮やかである。
鐘楼。
今熊野観音寺の本堂。本尊は十一面観音(秘仏)。
五色幕が掛けられていたので、何かあるのかなと思っていると、、、
何と、ちょうど今は秘仏の本尊がご開帳されているとのこと。
これはラッキー。ぜひお目にかからなければ。
いやー、いいものを見てきました。
しかし、撮影禁止なので、テレビで放送されていた御前立(おまえだち)を紹介します。
本尊も御前立とそっくりでした。
今熊野観音寺の御朱印。観音様が本尊なので「大悲殿」と書かれている。
そして、これが本尊御開帳記念の散華(さんげ)。
真言宗なので弘法大師を祀った大師堂がある。南無大師遍照金剛。
上の方に塔が見えるので、行ってみる。
燃ゆる紅葉。
「医聖塔」という多宝塔。
医聖塔から本堂を望む。
お不動さん💖
参拝を終えた後は、境内の茶店でぜんざいをいただいた。もみじを添えて。
今熊野観音寺を出発する。
さらに北上する。
無人販売所。
住宅街が京都一周トレイルコースの一部となっている。
この階段を上ると再び山道となる。
京都一周トレイルコースの地図は市販されているので(筆者も持参しながら歩いた)、
番号(下の写真では12番)と照らし合わせると、今がどこなのかがすぐ分かるようになっている。
車道に出た。
さらに進むと、国道1号線に出た。
さすがにここを渡るのは危険である。
少し行くとトンネルがあるので、そこをくぐる。
トンネルをくぐると、「将軍塚」の案内が出てくるので、そちらに向かう。
途中、高倉天皇陵の案内があったので、お参りする。
筆者は明日、高倉天皇の皇后である建礼門院・徳子様(平清盛の娘)ゆかりの寺に訪れる予定となっている。
高倉天皇は病弱で、わずか 21 歳で崩御されている。
高倉天皇陵。
さて、コースに戻る。
ここから清水寺にも行けるが、今回は将軍塚方面へ向かう。
清水山(きよみずやま)の山頂に着いた。
ピークを踏んでおく。
先に進む。
お地蔵さんに手を合わせる。
左・将軍塚、大日如来の石柱。
井上世外(井上馨)・侯爵の詩碑。
井上世外詩碑から少し行くと、広場が見えてきた。
13:50、将軍塚に到着。
横には「将軍塚青龍殿」バス停。
以前、天台宗五箇室門跡の一つである青蓮院門跡を訪れた。
しかし、本尊の不動明王(青不動)はこの将軍塚に安置されているとのことで、そのときは諦めたという経緯がある。
したがって、その時以来、ぜひとも訪問したい寺院の一つであった。
境内に入ろう。
正面に青龍殿(せいりゅうでん)が見える。
青不動は国宝であり、国宝本体は奥殿に安置され、手前に精巧に製作された複製が祀られている。
教科書にも載っているので、見たことがある方も多いのではないでしょうか。
筆者は、今日の一番の目的はこの仏画を見ることだったので満足して色紙を購入した。
青不動の御朱印。
青龍殿の外に出ると、すぐそばに将軍塚がある。
将軍塚は、8世紀の末、桓武天皇が平安京造営に際し、王城鎮護のため、高さ8尺(約2.5メートル)の土の人形に甲冑(かっちゅう)を着せ、弓矢を持たせ、京都の方を向けて埋めた塚であると伝えられている。
平安末期以後、天変地異があるときは必ずこの塚が鳴動して前兆をあらわすという伝説が生まれた。
遠くに京都タワーが見える。
将軍塚は夜景も有名であり、デートスポットとなっている。
御所も見える。遠くの山は左大文字。
青龍殿の裏はテラス状の舞台となっている。
庭を歩き、青蓮院を後にする。
枯山水(かれさんすい)庭園。
ここから粟田口(あわたぐち)まで、京都一周トレイルコースを下っていく。
麓に下りてきた。
15:05、麓の青蓮院門跡にも立ち寄ってみた。
青蓮院の前の道を北に進む。ここから平安神宮もすぐ近い。
正面に平安神宮の鳥居が見えるが、筆者は三条通りを左折する。
三条通りを西へ進む。
坂本龍馬とその妻おりょうが結婚した場所。
白川を渡る。この近くには、明智光秀の首塚や比叡山延暦寺の行者が通る行者橋がある。
15:15、ゴールである地下鉄・東山駅に到着。
このブログのサブタイトルである「お不動さんを探して歩く」という点では、模造とはいえ青不動仏画を見ることができたのは良かった。
あと、今熊野観音寺の観音さんも見とれるほどの仏様であった。
本文中でも述べたように、明日は建礼門院ゆかりの寺である寂光院を訪れるため、大原に行く予定である。