宮島は日本三景の一つであり、古くから島そのものが神として信仰された。
また、宮島中央にそびえる弥山(みせん)は弘法大師(空海)が開山したと伝えられ、真言密教の修験道場となった。
筆者は厳島神社には何回か来たことはあったが、弥山には登ったことがなく、
中腹には大聖院という大きな寺院もあるというので興味を惹かれ、今回弥山初登山となった。
歩行日:2018年11月12日
出発地:広島平和記念公園(8:30)
到着地:ふじたや(あなごめし屋)(15:15)
総歩行距離:8.6 km
宮島へは平和記念公園から出航する高速船で渡った。世界遺産航路というらしい。
およそ45分で宮島桟橋に到着。
旧家の町並みを西向きに歩いているとタヌキと遭遇。軽トラックの後輪付近にご注目。
千畳閣に到着。一見お堂に見える。
江戸時代までは寺院として機能し、実際に釈迦如来像が置かれていたが、
明治元年の神仏分離令により仏像は近くの寺院(大願寺)に遷され、
今では豊国神社すなわち豊臣秀吉を祀った神社の本殿となっている。
五重塔。これも神仏分離令により仏像は遷され、現在は豊国神社の一部となっている。
しかし、塔内には弘法大師の仏教絵画はそのまま残っているらしい。
神社に仏教建築である五重塔が置かれているのは珍しく、他では日光東照宮にも五重塔がある。
ここから弥山山頂まではもちろん徒歩で行く。
ロープウェイで登っても、山頂に行くには結構歩くことになる。
登山コースは三つあり、往路は大聖院コース、復路は紅葉谷コースを選択した。
みちしるべ
中国観音霊場第十四番札所 真言宗御室派大本山 大聖院。
ちなみに総本山は京都の仁和寺。
平安時代(806年)に弘法大師が開創したと伝えられる。
もともと厳島神社の別当寺(神社を管理する寺院)であった。
「院」と付くことからも分かるように、ここ大聖院も皇室と深い関わりがあり、法親王が住職として就任していた。
バルタン星人地蔵。1000年後、これを見た僧や仏教学者は悟りとどう関連付けるのだろうか。
仁王門。のぼりには「明るい社会は合掌から」と書かれ、その上には三鈷杵(さんこしょ)とよばれる密教の法具が描かれている。
水かけ不動。距離があったため、筆者は辺りに水をまき散らしてしまった。
勅願堂。本尊は波切不動明王。秀吉公は朝鮮出兵の際に念持仏としてこの不動明王を拝した。
他の伽藍も拝観したかったのだが、本日の目的は登山のため、先を急ぐ。
大聖院コースの登山口。
少々登ったところから大聖院を見下ろす。紅葉が見事だ。
白糸の滝。高さ14m。残念ながら水は枯れていた。
大聖院コースはほとんど石段であるが、この辺りから急坂となっていく。夏には本当にマムシが出るらしい。
中腹からは厳島神社の鳥居が見下ろせた。
大聖院コースには丁石(ちょうせき)があり、一丁は109mで、山頂は二十四丁。ここは七丁。
2005年の土石流で参道が壊滅した。現在では完全復旧しており、この辺りの石段は真新しい。
これは土砂が下流に流れるのを防ぐための砂防堰堤(さぼうえんてい)。
そうこうするうちに二つ目の仁王門が見えてきた。
大聖院は麓と山頂にそれぞれ堂宇伽藍があるため、仁王門も二つある。
向かって左が阿形(あぎょう)像、右が吽形(うんぎょう)像。マッチョな仁王さん。
この仁王門は台風で壊れたものを2012年に再建されたもので、まだ新しい。
潮の満ち引きが分かる干満岩。右上の穴から覗くと水が溜まっており、潮の干満によって水位が変わるらしい。
弥山七不思議の一つ。
弥山山頂に到着。神々しい岩がゴロゴロしている。
三角点もあった。
山頂は二十四丁。
弥山の高度は535m。
山頂から少し降りたところにある大聖院・霊火堂。
ここにはに1200年消えずの火が祀られている。
この火にかけられた大茶釜で沸かしたお湯を飲むと万病に効果があるとのこと。
もちろん飲みましたとも。
下りは紅葉谷コースを選択した。
紅葉狩りにはベストな日だったようだ。
下山してからは厳島神社と大願寺を参拝した。
特に、珍しい不動明王の大仏が大願寺にはあり、大迫力であった(残念ながら撮影禁止)。
この時点で午後3時過ぎ。山頂でおにぎり1個を食べただけだったので、
開いているあなごめし屋「ふじたや」に適当に入ったのだが、これが大正解。
ミシュラン1つ星の店であった。
外はカリカリ、内はフワフワのアナゴを食べさせていただいた。
これはアナゴの肝。
宮島といえば誰もが厳島神社を挙げると思うが、
その他にもたくさんの興味深い神社仏閣のある魅力ある島だと再確認した。
次回再訪の際には、今回拝観できなかった大聖院の伽藍を特にじっくり見たいと思う。